パイロットに求められる英語力

パイロットになるには

みなさんこんにちは!エアライン機長のGOROです👨‍✈️

今回はパイロットに必要な英語力についてシェアしていきます。

採用試験で必要な英語力

パイロットの採用試験にはいくつか種類があります。この記事でご紹介していますので参考にされてください。

まずJALやANAの自社養成パイロットの採用試験ではその中に英語の試験がありますがどのようなレベルの英語力が必要なのでしょうか??

JAL ケンブリッジ英語検定

JALの採用試験ではケンブリッジ英語検定試験を使用しています。これはより実践的な英語の会話力を見る試験で英語の質問に英語で答えていくという日常会話の試験のようなものです。

ANA TOEIC700点程度

ANAの採用試験ではTOEIC700点程度の英語力が求められているようです。JALもANAも初期訓練を海外で行っています。そこでは基本的には外国人教官に教えてもらうことが多いので日常会話程度の英語力は必須です。

航空大学校の英語試験

航空大学校の入学試験においては試験科目に英語があり、筆記とリスニングの試験があります。どの程度のレベルが必要かはわかりませんが英検2級のレベル程度は必要ではないかと思われます。

国内大学の航空機操縦学科などの入学試験

それぞれの大学によって異なりますが、入学試験には英語は必要です。その理由は自社養成パイロットと同じように海外で訓練に備えた英語力が必要だからです。海外での訓練にはTOEICの点数が必要な場合もあります。その点数は650点程度であることが多いので入学試験の段階においてもTOEIC650点程度の英語力を持っている方が望ましいのではないでしょうか?

採用試験での必要な英語力とは??

採用試験、入学試験それぞれの必要な英語力を見てきましたが、まとめるとどこの道を選んでもTOEIC650〜700点程度の英語力が必要といえるでしょう。しかし英語力が高い人ばかりが合格しているわけでもないのであくまで英語力は求められているもののうちの1つだと考える方がいいでしょう。

空飛ぶオヤジ
空飛ぶオヤジ

決して低い点数でもなければ決して高得点とも言えないのではないでしょうか?? 地道に学習すれば届く程度の英語力だと思います。

訓練に必要な英語力

続いてパイロットの訓練にはどれくらいの英語力が必要なのでしょうか?

海外での訓練

自社養成パイロットや大学の学科でライセンスの取得を目指す場合、必ず海外での実際に飛行機を操縦してライセンスを取得する訓練(@アメリカが多い)があります。そこでは日本人の教官もいますが、多くの訓練は外国人教官のもとで英語で行われます。

最初の頃は英語もわからず、飛行機の操縦もわからずで戸惑うことは多いです。しかし必ず教官との会話にも慣れ、飛行機の操縦にも慣れる時がやってきます。さらに海外での訓練は1人ではありません。同期や仲間で進めていくのでわからないことがあったら相談できます。訓練は2人ペアで行います。1人が操縦しているときは後ろの席にもう1人のペアが座って訓練の様子を見ています。訓練が終わったらそのペアに教官はこう言ってたとかアドバイスをもらうこともできます。英語のできる人の方が訓練の成績が良かったという話は聞かないので過度に英語の心配をする必要はないかと思います。

むしろ海外で訓練をしていても、教官と話す時以外は日本人の仲間と日本語で生活しているので大して英会話力が向上していなかったのが残念でした。。。

航空無線通信士の試験

飛行機に乗り込んで無線を扱うには航空無線通信士という国家資格が必要です。その試験の中には英語の試験もあります。通常の英語の試験と少し異なるのは、英語の航空用語を覚える必要があるということです。しかしそれを覚えさえすればTOEIC650点程度の方であれば英語に関しては問題なく合格することができると言えるでしょう。

航空無線通信士の試験には英語以外にも工学、法規の受験科目もあります。

エアラインパイロットになってからの英語力

訓練が終了しエアラインパイロットになってからの英語力はどうなのでしょうか?

航空英語証明

航空法の定めるところによると、国際線を飛ぶパイロットは「航空英語証明」というライセンスを取得しなければならないと定められています。パイロットと管制官との無線のやりとりに使う言語は英語もしくは母国語と決まっています。国際線を飛ぶと英語でしか他国の管制官と意思疎通がとれないのでパイロットの英語能力を担保するために「航空英語証明」というライセンスが必要なのです。

「航空英語証明」にはレベルがあります。レベル6、5、4の三種類です。ライセンスの有効期限があり、レベル6は無期限、レベル5は6年間、レベル4は3年間となっています。

ほとんどの日本人のパイロットはレベル4です。英語がかなり得意な人がレベル5、レベル6は帰国子女レベルでないと取れないようなレベルです。

航空無線の実際のところ

航空無線のことをATCと呼んでいます。実際のATCは英語力というよりも、慣れや経験、予測が重要です。ATCでのやりとりは日常会話と違って決まった航空用語を用いて話しています。決まった用語を使うことで誤解によるミスを防ぐためです。

例えば、離陸の許可は「Cleared for Take Off」ですがこの用語は離陸許可以外に使用してはいけません。以前には滑走路に入る許可を出す時に「Line Up for Take Off」といったところ飛行機が離陸してしまったといったこともあります。たったひとつの言葉の取り違えが大事故につながりかねないですし、雑音が入って聞きにくいことも多いATCですので使用する用語は厳格に守る必要があります。

英会話力よりも慣れや経験、予測が重要というのはATCはだいたいここではこういうことが言われるというのが決まっているものもありますその時の飛行機の位置や周囲の状況によって次のATCの指示がある程度読めたりもします。ですのでアメリカ人パイロットと日本人パイロットがアメリカの空港にフライトした時にアメリカ人パイロットはアメリカ人管制官のATCがわからなかったけども、経験のある日本人パイロットはATCがわかっていたというような逸話もあります。

日本国内においては管制官も日本人ですから綺麗な英語というよりは発音に関しては完全な日本語英語で通信しています。どうしても航空英語では伝えにくいことがあったりしたときは日本語で話すこともできます。

以下のYou Tubeは伊丹空港RW32L(B滑走路)でトラブルが発生した時のATCです。管制官は日本語も使いつつパイロットに状況を知らせ、離陸機を地上で待機させ、もう1つの滑走路のRW32Rから離陸できる小型機には32Rを使用するかどうか聞いたりしています。

ITM SKY CAM様チャンネルより

海外においてはその国の訛りがあってなかなか英語が聞きにくい場合もありますまた使用する航空用語にも国ごとに特徴があるのでその準備も必要です。例えばドイツでは高度の指示や通報に「TO」や「FOR」を使用してはいけません。数字の「2」「4」と間違えるのを防ぐためです。中国、ロシア、フランスでは自国の飛行機に対しては母国語を使っているので他機への指示は全く理解できないので状況判断がしにくい場合もあります。

結局のところパイロットは英語できるの??

航空無線の英語は日々業務で使っているのでみんなできるのですが、一般的な英会話については本当に人並みというレベルです。

帰国子女のようなバックグランドがあってペラペラの人もいますが、ごく稀で、海外で訓練していたにも関わらず全然できない人もいます。

日常の英会話については仕事とは別に(私も含め)練習していかないと仕事をしているだけでは全然上達しません。最近ではオンライン英会話でいつでもどこでもレッスンできる時代になってきているのでそいったサービスを利用すれば私たちのように仕事柄不規則でも英語レッスンをできるのではないかと思います。


今回はパイロットに必要な英語力についてシェアしました!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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