みなさんこんにちは!GOROです👨✈️

パイロットが恐れる気象シリーズ始めるよ〜!!
急に何??というツッコミが聞こえてきそうですが、「オヤジ」が言い始めたので仕方なく始めたいと思います。
早速ですが、今回取り扱うのは「霧」です。
霧がどう飛行機の運航に影響してくるのかオヤジと見て行こうと思いますのでお付き合いいただければと思います。
霧とは何か??
霧の定義

気象庁のHPによれば、霧とは「微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態」です。
さらに視程が陸上では100m、海上で500m以下になると「濃霧」になります。濃霧注意報は地方によって多少の差はありますがこの視程は発令の目安になります。
「もや」という言葉もありますが、こちらは視程が1km〜10kmの状態を言います。
霧のでき方と種類

霧は空気中の水蒸気が冷やされて(凝結)小さい水滴として空気中に出てくることで生じます。
その水蒸気の冷やされ方によっていくつかの種類に分けられます。その中でも飛行機に影響のある霧をいくつか紹介します。
放射霧
晴れた夜間の放射冷却で地面付近の空気が冷やされることで発生する霧。
全国どこの空港でも発生する可能性があるが、周辺に池や湖などの水蒸気の供給をするものがある空港で多発する。成田空港などで多い。

日が昇って気温が上がれば解消されるので影響があるのは朝の時間帯だけなことがほとんど。
移流霧
流れてきた(移流してきた)空気が、その空気よりも冷たい海面などで冷やされて発生する霧。
海で発生することが多く、それらは海霧と呼ばれる。寒流の千島海流上の空気が冷やされて発生することが多いので仙台、三沢、新千歳、帯広、釧路などの東北〜北海道の太平洋側の空港に影響が出る。


海霧は発生すると気圧配置が変わるまで続くことが多く、しかも濃いです!
滑昇霧
山や斜面を登った空気が気圧が下がることで膨張し冷えることで発生する霧です。山で発生するガスのようなものがこれにあたります。
日本には山の中にある空港が多いので影響を受けやすいです。特に高松、広島などの空港で顕著です。

霧の規模は小さいので上空から空港は見えるのに、着陸間際に滑昇霧に入って着陸できないということがあります。風向きが同じだと継続的に発生するので結構厄介ものです!
霧が引き起こした世界最大の航空事故
40年以上前ですが、霧が原因のひとつである世界最大の航空事故が発生しました。
事故は1977年3月27日に発生しました。
この日、太平洋上のリゾート地であるスペイン領グランカナリア島で爆弾テロが発生しました。そのため空港は閉鎖され、グランカナリア島に向かっていた飛行機が近くのテネリフェ島にあるテネリフェ空港へとダイバート(目的地変更)しました。今回事故の対象となるKLM航空とパンナム航空のどちらもB747(いわゆるジャンボジェット)もテネリフェ空港にダイバートしていました。

テネリフェ空港は小さい空港で普段は飛行機も少ないようですが、この日は爆弾テロの影響でダイバート機が多く飛来して大変混雑していたようです。
数時間後、当初の目的地のグランカナリア空港の運用が再開し、テネリフェへからグランカナリアへ向けての飛行機が出発が始まりました。
しかし、その頃濃霧がテネリフェ空港を覆い始め、ついには視程が300mまでに落ちました。そのため管制塔からは飛行機が見えず、管制官はパイロットとの無線の通信のみに頼って飛行場を管制していました。
管制官はKLM機を滑走路上の離陸位置まで移動し待機させ、その間にパンナム機も滑走路上を移動させました。管制官はパンナム機に滑走路から出たら連絡するように言い、その連絡が来てからKLM機を離陸させる予定でした。
パンナム機が滑走路を移動中に、管制官は滑走路上で待機しているKLM機にこれから飛ぶ飛行経路の許可を伝えました。
しかしこの飛行経路の許可をKLM機は離陸の許可と誤認し、離陸を開始してしまいました。まだパンナム機が滑走路にいるにも関わらず。。。
その結果、2機のB747は滑走路上で衝突し、乗員乗客合わせて583人が死亡するという航空機事故史上最多の死者数を出す事故が発生してしまいました。

さまざまな要因が重なって起こった事故ですが、霧で管制官とパイロットの視界が奪われていたのが原因のひとつであることは間違いありません。視程300mというのは現在の基準でも離陸できる最低の視程とほぼ同じです。
タラレバになりますが、もしこの日が晴れた天気の良い日であればこんな事故は起こっていなかったでしょう。
現在の低視程への対応

では現在、霧などで空港の視程が悪くなった時にはどんな対策がとられているのでしょうか?
40年前のテネリフェ事故当時とハード面、ソフト面で比較していきます!
ILSアプローチ
低視程になった空港での着陸に有効なのがILSアプローチです。通常視程550mまで対応できます。
さらにカテゴリー3ILSのような設備があれば視程が50〜100m程度になっても自動操縦で着陸させることができます。ILSについて詳しくは次の記事をご参考ください。
マルチラテレーションシステム
マルチラテレーションシステムとは、飛行機のトランスポンダー(自機の位置を発信する発信機のようなもの)を受信することで、管制官のマップ上に飛行機の位置を表示させることができるシステムです。
これがあれば視程がゼロでも管制官は飛行機の位置をしっかりと把握することができます。しかしまだ主要な幹線空港のみの配備となっています。
RWSL(Runway Status Light)
ここから少し英文字が増えますが、RWSLは空港にある灯火(ライト)を使ったシステムです。
滑走路への誤進入を防ぐのが目的で、管制官と独立したシステムで飛行機の位置情報を用いて自動的に作動するシステムとなっており、もし管制官が間違えた指示を出してもRWSLによって滑走路への誤進入を防ぐことができます。RWSLは3つの灯火のシステムで構成されておりそれらはTHL、REL、VMSの3種類です。以下に解説していきます。
THL(Take-off Hold Light)
THLは滑走路中心線に沿って並ぶ赤色の灯火で、点灯している間は離陸機に対して他の飛行機が滑走路上にいることを示します。管制官から離陸許可が出たとしても、THLが点灯していたら離陸は禁止です。

これがあればテネリフェ事故は完全に防げていたでしょう。

REL(Runway Entrance Light)
RELは滑走路に入る飛行機に対して注意を促すもので、離着陸機が滑走路にいる間は赤く点灯し他の飛行機が滑走路に入ることを防ぎます。

VMS(Variable Message Sign)
VMSは滑走路脇に設置され、滑走路を横断する飛行機に対して注意を促す電光掲示板です。滑走路に離着陸機がいる場合はSTOPと表示されます。

今のところ羽田空港以外では見たことはありません。電光掲示板なのでSTOP以外も表示あればいいのになと思いますが、STOP以外見たことはありません。

Stop Bar Light
Stop Bar Lightは滑走路の入り口に設置された赤い灯火で点灯している場合はこれを越えて滑走路に進入してはいけません。先ほどのRWSLと似ていますが、Stop Bar Lightは管制官が手動で操作している点が異なります。国内では幹線空港で視程が下がった時に使用されるようです。

個人的には国内であまりお目にかかりませんが、海外では誤進入防止のため常時運用しているところもあり海外空港で目にする機会の方が多いイメージです。

ソフト面の進化はどうなのか??
ここまでさまざまなハード面での低視程への対策を見てきましたが、40年前と比べてソフト面ではどう変わったのでしょうか??

実際のところはソフト面ではほとんど変わっていないというのが現状です。
40年前と比べてソフトの部分、人間の部分、パイロットの部分ではあまり変わっていません。
もちろん、さまざまな手順の見直し、コミュニケーションの取り方、操縦室内での雰囲気作り、機長と操縦士の間の適切な権威勾配などなど航空会社においてヒューマンエラーを撲滅するための取り組みはたくさん行っています。
しかし、ハードウェアに起因する事故は大きく現象している一方、ヒューマンエラーに起因する事故、インシデントは世界中でまだまだ発生しています。
テネリフェ事故でも原因としては霧のほかにも、KLM機のパイロットが早く離陸したくて焦っていたということや、KLM機長が「滑走路上にまだパンナム機がいるのでは?」という航空機関士の助言を聞かずに離陸してしまっていたりなど、人的要因によるものもいくつも見受けられます。

これらの要因は状況次第では今でも十分に起こり得ることだと思います。
また、管制官とパイロットとのやりとりは40年前から変わらず無線です。この音声のみに頼った指示も非常に脆弱な部分が多いです。例えば、以下のような脆弱性があります。
指示を聞き間違える可能性もあります。2はTwo、3はThreeですが結構無線では聞き分けにくいです。
航空無線は同時に話すことができません。もし同時に話してしまうと「ザー」という雑音になってしまい離陸許可なのか、滑走路上で待機なのか、といったような大切な指示が聞こえなくなることもあります。
無線で使用する用語は英語ですが、国によって訛りがあって聞き取れなかったりすることもあります。
そしてこれらの例で挙げた無線の脆弱性は全てテネリフェでの事故原因として挙げられているものです。また、今でも状況は基本的には変わっていません。

今も昔も、管制官との無線ひとつひとつをしっかり確認する重要性は変わっていません。
最後までお読みいただきありがとうございました👨✈️ では、また!!





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