【冬の天気】JPCZについて最新の研究でわかっていること

お天気の話

今回は最近のニュースで聞く機会が増えたJPCZについて解説していきます!

ニュースでは深く触れられないJPCZのホントのところについても触れていきます!

JPCZとは??

日本語にすると日本海寒気団収束帯

JPCZとはJapan Polar air mass Convergence Zoneの略で日本語では「日本海寒気団収束帯」という名前になります。いずれも覚えにくいので「JPCZ」と略称で呼ばれています。

似たような気象用語に「ITCZ」というものがあります。これはIntertropical Convergence Zoneの略で熱帯収束帯と言います。これは赤道付近で北半球からの貿易風と南半球からの貿易風がぶつかって収束し、雲が帯状に発生しやすいエリアのことです。「JPCZ」はこの「ITCZ」を意識して命名されたようです。

引用:Wikioedia

どこにできるのか??

その名の通り日本海上に発生します。

引用:福井気象台

上の気象衛星画像で赤く囲った部分がJPCZの雲です。日本海全域に強い寒気に伴う筋状の雲が見受けられます。これらの雲は高さはあまりなく全体的にベターっとした感じで日本海を覆っていますが、JPCZのエリアだけは雲が発達しているので他の部分よりも雲が高くなっている様子がわかると思います。

JPCZがもたらす大雪

日本海側のエリアでJPCZがかかる場所では大雪になります。JPCZの発生場所の関係から北陸地方に大雪をもたらします。

JPCZの中でメソスケール(気象学で200〜2000km程度の大きさという意味)の小さな低気圧が発生することがあります。このメソスケールの低気圧は天気図にはなかなか表記はされない程度の大きさです。気象衛星画像では渦を巻いているのがわかります。JPCZの中にこのメソスケールの低気圧が発生した時には災害級の大雪をもたらすことがあります。

JPCZの発生要因

JPCZの発生要因ですが、スーパーコンピューターでの数値実験によって3つの要因が判明しています。

長白山脈の影響

長白山脈は北朝鮮と中国の国境付近に位置する山脈です。標高2774mの白頭山が最高峰です。日本の山で例えると日本アルプスの山脈より少し低く、八ヶ岳くらいのイメージでしょうか。白頭山は頂上は年間200日以上も雪が降るので白頭山と名づけられたそうです。

Google Mapに加筆

寒気団の風が長白山脈にぶつかると山を回り込むように風が吹きます。山を回り込んだ風は山の風下側で再び合流しますが、この時風同士がぶつかって収束が発生し、雪雲が作られます。それが列をなして日本になびいてくるのが1つ目の要因です。

JPCZの生成には大陸内陸部からの寒気の吹き出しの強さと風向も重要な要素です。吹き出しの風が弱ければ分流してからの収束は発生しません。また風向については北西風の時に長白山脈に直角に風が当たるので風下での収束が起こりやすくなります。

長白山脈がないとどうなるか?

コンピューターによるシュミレーションで長白山脈の標高を変化させたらどうなるのか?という実験がありました。

その結果によれば、標高を2000mに下げても同様にJPCZは発生しましたが、1000mまで下げるとJPCZは弱まり、200mにするとJPCZは発生しなかったというデータが得られました。

これにより長白山脈がJPCZの発生に大きな影響を持っていることが証明されています。

特徴的な海面温度の分布

JPCZの発生には山が影響しているというのは最近ニュースでも取り上げられていますが、他にも要因があることが数値実験で確かめられています。そのうちの1つが特徴的な海面温度の分布です。

日本海には2種類の海流が流れています。寒流のリマン海流と暖流の対馬海流です。そのため日本海の冬の海面温度は下図のような分布になっています。

気象庁HPより加筆

そのため長白山脈で分流した寒気は北側の流れは冷たい海の上を通ってくるので湿った冷たい空気になります。南側の流れは温かい海面上を通ってくるので温められ、水蒸気もたくさん供給され、北側の流れと比べて暖かく湿った空気になります。この2種類の性質の違った空気が山の風下でぶつかることで、ただの風の収束よりも雲が発達しやすくなっています。

海面温度を変化させるとどうなるか?

特徴的な海面温度の分布の影響を調べるため、日本海の海面温度を一定にしてコンピューターを用いたシュミレーションで再現したところ、JPCZのような収束帯は出現したものの、大雪を降らせるような雲は発達しなかったようです。

長白山脈だけの効果では大雪を降らせるほどにJPCZは発達しないことが証明されています。

朝鮮半島の効果

もう1つJPCZの発生に影響を与えているとわかったのは朝鮮半島の効果です。JPCZから離れているんじゃないの?と思われますが収束帯の強化に影響を与えているようです。

朝鮮半島は陸地で日本海は海です。比較すると陸地の方が冷えやすく、海面の方は冷えにくいです。しかも対馬海流の影響で日本海の南部は温度が高いのでこの「冷たい陸地」と「温かい海面」のコントラストは大きくなります。

「冷たい陸地」の上の空気は冷やされて相対的な高気圧、「温かい海面」の上の空気は温かいので相対的な低気圧と見なすことができます。風は高気圧から低気圧へと吹くので朝鮮半島から日本海へ向けて風が吹くような力が働きます。そしてその先にあるのがJPCZになります。

この陸と海の熱的なコントラストによってもJPCZは強化されていることがコンピューターのシュミレーションでわかっています。

JPCZのまとめ

  • JPCZは日本海寒帯気団収束帯の略で冬の日本海上に発生する
  • JPCZ内に小低気圧ができた時は災害級の大雪に注意
  • JPCZの発生要因は3つあることが数値実験で明らかになっている
  • ① 長白山脈による寒気の分流からの収束の効果
  • ② 日本海の特徴的な海面温度分布
  • ③ 朝鮮半島と日本海の熱的コントラストによる収束の強化

最後までお読みいただきありがとうございました👨‍✈️

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