飛行機の計器の見方①【概要編】【飛行適性検査対策にも】

パイロットになるには

皆さんこんにちは!エアライン機長のGOROです👨‍✈️

今回は飛行機の計器の見方をシェアしていきます!

今後、採用試験の飛行適正検査を受験する方で何か対策をしていきたいという方やパイロットの基礎訓練中である方には必見の内容ですので是非最後までご覧ください!

スキャンとは??

パイロットは飛行中に計器を見ますが、幾つもある計器に満遍なく注意を分散しなければなりません。いくつかのことを同時に考えたりすることをマルチタスクと我々は呼んでいます。1つの計器に気を取られそうになっても、他の計器への注意を怠らないことが必要です。採用試験の飛行適性検査で見られている能力の1つがこのマルチタスク能力です。

例えが良くないですが、歩きスマホと少し似ています。歩きスマホを「歩きながら①前を見る+②スマホを見る」行為だとすれば②のスマホをみてばかりだと障害物にぶつかります。反対に①の前を見てばかりではスマホの内容が入ってきません。①と②を状況に応じて細かく切り替える作業がマルチタスクになります。1度に1つのことしか人間はできないので細かく切り替えて対応することがコツです。

飛行機の操縦では見る計器を1〜2秒程度の間隔で切り替えることが必要です。こういった計器の見方を「スキャン」と言います。飛行機を正しく飛ばすには場面に応じた適切な「スキャン」が必要です。

飛行機の計器について

場面に応じたスキャンについて説明する前に、飛行機の計器にはどんなものがあるのかをご説明します。昨今のジェット旅客機はグラスコクピットと呼ばれるように、計器が画面上に表示されています。

ボーイング系列の飛行機のPFD JAL HPより

こういったPFDに必要な情報が集約されるようになっています。しかしここでは基礎訓練のプロペラ機の時にお世話になるであろう伝統的な計器の配列を用いて説明していきます。それは以下のものです。

基本となる6つの計器

ここからはそれぞれの計器の見方を解説していきます!

速度計

速度計

速度計は飛行機の空気に対する速度を表示する計器です。単位はKT(ノット)でおよそ1kt=1.8km/hrですのでKTを2倍して2割引けばおよその時速に換算できます。

この絵での赤いラインが飛行機の最大速度であったり、白いバンドはFlap操作できる速度といったような意味がありますが、速度計のタイプによって異なるので気にする必要はありません。針が刺している飛行機の速度を読み取ればOKです。

姿勢計

姿勢計

姿勢計は飛行機の姿勢を表示します。主に見るべきものは2つで、飛行機の機首の角度=ピッチと、傾きの角度=バンクを知ることができます。

姿勢計は飛行機にとって最も重要な計器です。それは飛行機を飛ばすには、飛行機の姿勢をコントロールすることが1番重要だからです。飛行機の姿勢(+エンジン推力)をコントロールすることで飛行機の速度や高度、上昇率といったパフォーマンスが決まっていくからです。そのため姿勢計をコントロール計器、その他の計器をまとめてパフォーマンス計器と呼ぶこともあります。

うまく飛行機を飛ばそうと思えば思うほど、速度計や高度計の方に目が行ってしまいがちなのですが、全ては飛行機の姿勢の結果で速度や高度が決まってくるので、姿勢計が最も重要なのです。そのためスキャンする頻度や時間は姿勢計が1番多いし、長いし、メインになってきます。

高度計

高度計

高度計は飛行機の高度を表示します。長い針が1000ft単位を、短い針がそれ以下のftを表示します。

右側の30.1などの数字はここに地上の気圧を入力することで正しい飛行機の高度がわかります。地上の気圧と現在の気圧の差を利用して高度を計測しているためです。

旋回計

旋回計

これはぶっちゃけると1番見ることのない計器です。2分で360度旋回するような割合で旋回していたらL/Rの文字のすぐ上にある線に飛行機の羽が合いますがあまり意識したことはないです。

下部の黒いボールは滑り計というもので飛行機が旋回中など横滑りしているかどうかを表示します。ボールが右にずれていたら右のラダーを少し踏みます。滑り計を使うのは1つのエンジンを止めて飛行する練習の時です。

方向計

方向計

方向計は飛行機の機種が向いている方向=ヘディングを表示します。旋回の訓練や、ナヴィゲーションの訓練でも自分の進行方向の把握のため使用します。またI管制官からのレーダーベクタの指示に従う場合にも、管制官の指示した方位に機首を向けるために使用します。

レーダーベクターについてはこちらもどうぞ

昇降計

昇降計

昇降計は飛行機の上昇降下の割合=昇降率を示す計器です。目盛は100ft単位で表示で、昇降率はft/minという単位です。針が5の位置にあれば500ft/minという意味で1分で500ftのペースで上昇/降下しているということがわかります。

昇降計の針は姿勢の変化に応じて特に過敏に動くので気になってしまいがちなので注意が必要です。

グラスコクピットも計器の意味は同じ!

アナログ計器とデジタル計器を比較してみます。

基本となる6つの計器
デジタル計器

表示される場所は違いがありますが、計器の意味するところや、見方は全く変わりません。

場面に応じたスキャンの方法も同じですので、どちらでも訓練していけば問題なく飛行機を飛ばせます。

次回以降は旋回や上昇、降下などの場面に応じたスキャンの方法をご紹介しますのでぜひご覧ください!

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