【空港解説】新千歳空港 到着編

空港解説

皆さんこんにちは!エアライン機長のGOROです👨‍✈️

今回は北海道の玄関口である新千歳空港について到着編/出発編に分けて解説していきます!

新千歳空港とは??

新千歳空港は北海道千歳市と苫小牧市にまたがって所在しています。

新千歳空港の位置 Google Mapより

滑走路は01L/19R、01R/19Lの2本あり、どちらも3000mあります。ターミナルを挟んで反対側には航空自衛隊の千歳基地がありこちらにも2本滑走路があります。新千歳空港側の滑走路で何かトラブルがあった時には千歳基地の滑走路に着陸することもごく稀にあります。

たまにあるのが、シカが数匹滑走路周辺に入ってきて使用できなくなり、千歳基地側に着陸ということがあります。こればかりはシカたがない。。。

西側が千歳基地、東側が新千歳空港という配置 Google Mapより

北海道の中心となる空港で、国内線の利用者数は2010年代以降伸び続けておりコロナ前の2019年には2000万人を超えました。8年連続での増加だそうです。中でも羽田路線は国内線の旅客数最多の路線になっていて2019年には1000万人を超えました。新千歳空港利用者の約半数は羽田からということになります。国際線の伸びはさらに顕著で、利用者は30万人を超え5年前と比べてほぼ倍増しています。そのおかげもあって国内空港の空港別収支では羽田空港を抑えて第1位になっています。

国内空港での着陸回数のランキングでは第6位でした。

国内空港の着陸回数ランキング

新千歳空港への到着経路

滑走路の使い分け

新千歳空港には3000mの滑走路が2本あります。使い分けとしては通常は東側のRW01R/19Lが着陸用、西側のRW01L/19Rが離陸用となっています。ただし大雪の場合などはどちらか1本を閉鎖して除雪、その間はもう1本を使用し、除雪が終わったら閉鎖する滑走路を交替してまた除雪するといった運用もしています。

空港への入り口

新千歳空港への到着経路となる入り口は3か所あります。ここで言う入り口とは航空路の終点のことでそこから先が空港への独自の経路となる場所とします。高速道路に例えると本線から降りる場所のことです。飛行機は航空路→STAR→Approachと進んで空港に着陸していきます。

目的地の空港へ向けて航空路を離れる場所を空港への「入り口」とします。

降下〜STAR〜アプローチの解説はこちらもご覧ください。

3ヶ所の入り口はそれぞれ新千歳空港の南、東、北にあります。

新千歳空港の入り口

南方面からの入り口

新千歳空港に到着する便のほとんどが南から到着してきます。NAVERが南の入り口になります。

到着機の9割以上は南からの到着になります

南からにも2種類あって、東京方面や仙台方面からは航空路Y11を通ってきます。アジア方面の国際線の多くや福岡、伊丹、名古屋等からは日本海上をY13などで飛行してきてY139でNAVERへと至ります。航空路がNAVERで合流しているのです。従って飛行機はNAVERに集中するのでそこに至るまでにスピードの調整やレーダーベクターを指示されて順番を整えられます。通常は青森付近から速度調整やレーダーベクターが始まります。空港が大雪などで処理能力が低下している場合などはNAVERよりも手前でHOLDINGさせられたりすることもあります。

NAVER以降はSTARが指示されます。01Rの場合はYOTEI SOUTH Arrivalが、19Lの場合はYUNEY SOUTH Arrivalが指示されます。

01R使用時のSTAR
19L使用時のSTAR

北方面からの入り口

北方面からの入り口はKURISです。こちらから到着してくるのは稚内などの道北からの到着便と国際線ではヨーロッパからの到着便です。ヨーロッパ方面からの便は2002年にKLMが撤退してからずっとありませんでしたが、フィンエアーが2019年から冬季のみの運航をしていました。2022年夏ダイヤからは再び運航再開するようです。

KURIS以降はSTARがアサインされます。RW01R使用時はYOTEI NORTH Arrivalが、RW19L使用時はKAORY NORTH Arrivalが指示されます。

東方面からの入り口

東方面からはCHE VOR/DMEが入り口となっています。女満別等の道東からの飛行機はCHEまでつながる航空路でフライトプランを提出しています。しかしCHEからつながるSTARはないので実質はCHEよりも手前からレーダベクターでApproach開始点までの誘導をされているようです。

新千歳空港のApproach

航空路→STARと経由してきた飛行機はいよいよ最終の滑走路に向けての降下=Approachを実施します。新千歳空港ではRW01R/19LどちらもILSアプローチを実施しています。

ILSアプローチについてはこちらで解説しております!

RW01Rの場合

RW01R使用の場合は2種類のILSアプローチを使い分けています。

AIPより

ILS Z 01Rのチャート

YOTEI以降2000ftで飛行する制限がある。東から千歳基地に帰投する自衛隊機を2500ftで飛ばすため。

AIPより

ILS Y 01Rのチャート

こちらは自衛隊機がいない場合に使用する。YOTEIは3000ft以上で通過の制限

上の図のようにILS ZとILS Yという2種類を使い分けています。使い分けは自衛隊機がいるかいないかです。ですので訓練のない土日祝日はILS Yの使用が多く、平日はILS Zの使用頻度が高くなっています。

ILS Zでは2000ft=約600mと言う低高度で飛行する時間が長く燃料効率といった点で望ましくないので、管制官も自衛隊機の動向を見てなるべくILS Yを指定するようにしているようです。

千歳空港は航空自衛隊によって管制されています。

RW19Lの場合

こちらはILS Z 19Lを使用します。北からの到着機はKAORY、南や東からの到着機はYUNEYからアプローチします。南からの到着で到着機が空いているとNESICに向けてショートカットのレーダーベクターがくる時もあります。そんな時は高度処理に注意が必要です。

ILS Z19L AIPより

RW19Lでも自衛隊機が千歳基地に東から帰ってくる場合も2500ftで飛行してきます。そんな時は「Cross PUNCH at 2000ft」との指示が管制官から指示されます。PUNCHとNESICの間を民間機は2000ftで飛行し、自衛隊機は2500ftで横切っていきます。

新千歳空港着陸後の注意点

着陸後もいくつか注意する点があります。ここでは2つあげます。

新千歳空港のレイアウト AIPより

滑走路の横断

着陸後はもう1本の離陸用の滑走路を横断しなくてはなりません。伊丹空港よりは滑走路間の誘導路の距離は長いのですが管制官との無線やりとりのミスで誤って滑走路に入ってしまった事例もいくつかあります。

冬期の路面や気象状況

新千歳空港は冬はマイナス10℃を下回ることも珍しくありません。大雪も降ります。冬の気象条件は厳しい状態での運航も多々あります。過去にはさまざまな事故、インシデントがありました。

出発前に防除氷作業をする航空機

路面が凍ってツルツルで曲がれずに脱輪したこと、吹雪で前が見えずに滑走路から外れてしまったこと、毎年と言っていいほど冬には何か起こっているように感じます。

冬の新千歳空港は命懸けでと言ってもいいくらい大変な空港になることもしばしばです。


最後までご覧いただきありがとうございました👨‍✈️

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