【空港解説】伊丹空港 到着編

空港解説

皆さんこんにちは!今回はパイロット目線での伊丹空港への到着編をシェアします。

2020年の着陸回数が日本の空港で第5位だった伊丹空港ですが、飛行機はどのように伊丹空港に到着してくるのでしょうか??

伊丹空港について

伊丹空港は正式名称は大阪国際空港です。現在は国際線はないですが国際空港の名前が残っています。大阪府北部の豊中市、池田市、兵庫県の伊丹市にまたがる空港です。大阪市内からのアクセスが良いことからビジネス利用が多く、羽田路線の利用者が6割近くを占めています。空港を示すICAOコードはRJJJ、IATAコードはITMです。

伊丹空港の運用時間は07〜21時です。21時の門限に間に合わず、関西空港にダイバートした飛行機もあります。

飛行機の伊丹空港への入り口

航空路の終点を空港の入り口とすると、伊丹空港への入り口は3箇所あります。西には神戸空港と関西空港がありますので空域の関係上、東、北、南からの入り口になります。

伊丹空港への入り口  AIPに加筆

東京、東北方面から

AGPUKが入り口です。AGPUKまでは航空路のY546、AGPUK以降はIKOMA EAST ArrivalというSTARがアサインされます。2021年10月にKODAIからAGPUKへRNAV Waypoint化され名称もそれに伴い変更になりました。

航空路→STAR→Approachの繋がりについてはこちらで解説しています。
IKOMA EastとNorth Arrival AIPより

北海道方面や一部東北地方日本海側から

ROKKOが入り口です。STARは上の東京方面からに載せています。ROKKO以降はSTARのIKOMA North Arrivalがアサインされます。こちらからですと空いていればレーダーベクター(=管制官の飛ぶ方角を指定した指示)によってショートカットもありますので高度処理には注意が必要です。東京方面からの飛行機によっては減速を早めに指示されたりワイドにベクターされます。

六甲山からはかなり離れていますがROKKOと名付けられています

九州、沖縄方面から

IZUMIが入り口です。IZUMI以降はSTARのHABIK Arrivalがアサインされます。IZUMI付近は関西空港への到着機との交差もありますので周辺の飛行機にも注意が必要です。

HABIK Arrival AIPより

伊丹空港のアプローチ

伊丹空港で吹く風

伊丹空港では年間を通じて北西風が吹くことがほとんどです。そのためRW32L/Rをほぼ年中使うことができます。伊丹空港はすぐ北に山地があるのでRW14側にはアプローチは設定されていないのでRW32を使用することは飛行機の処理能力からしてもパイロットから見ても好都合です。

伊丹空港のある豊中市の風配図   気象庁HPより

2本の滑走路の使い分け

伊丹空港にはA滑走路(1828m)とB滑走路(3000m)の2本あります。

通常は短いA滑走路をターボプロップ機とボンバルディアなどの小型ジェット機が使用します。B737より大型の飛行機は長いB滑走路を使用しています。

RW32使用時

3箇所の空港の入り口からSTARを経由して1箇所(=IKOMA)にたどり着いた飛行機はそこからILS 32Lを行います。

ILSアプローチについての解説はこちら

32Rに着陸する飛行機は2種類のやり方があります。

1つ目はCircle 32Rと言って、途中までILS 32Lでアプローチし途中から32Rへ横にスライドし着陸する方式です。

ILS 32LのチャートとCircle 32Rのイメージ   AIPより

2つ目はIKOMAからRNAV 32Rと言うアプローチを行う方法です。こちらの方がより悪天候にも対応できる方式にもなっています。

IKOMAの他にはGAMBAやCEREZといったサッカーチームの名前が付けられているのが印象的です

RNAV 32Rのチャート   AIP
RNAVアプローチについての解説はこちら

RW14使用時

伊丹空港では稀なケースですが、低気圧や台風によって強い南風の場合はRW14を使用します。この場合はILS 32L circle RW14R/Lという方法を使います。

途中まではILS 32Lと同じようにILSの電波に乗って降下していき、滑走路が見えたらくるりとRW14の方へ回り込むという方式です。

Circle RW14のイメージ  AIPより
サークリングの解説はこちら

伊丹空港着陸後の注意点

着陸してホッとしたくなるところですが、「家に着くまでが遠足」というように「スポットインするまでがフライト」です(笑)

伊丹空港では滑走路32L着陸後に32Rをクロスしなければなりません。これが結構鬼門で、着陸後の管制官とのやりとりがうまくいかなかったり等の理由で本当は滑走路手前で止まれの指示だったのに滑走路に入ってしまったりといったインシデントが多発している場面なのです。

伊丹空港レイアウト  AIPより

32Lに着陸して着陸の手順や操作に追われながら、無線もこなしながらで非常に忙しいところで32Lを出て32Rもすぐ目の前にあるといったこともあり注意を要する場面になっています。

伊丹空港の撮影スポット

市街地にある空港なので撮影できる場所は数多くあります。しかし飛行機の迫力を感じられるくらい近くで見れるスポットが伊丹にはあります。それが千里川の土手です。

Google Mapより

千里川土手はRW32Lのすぐ手前にあるのですぐ頭上を着陸機が通り過ぎていきます。またちょうど延長線上なので遠くから自分の方に飛行機が向かってくるので迫力満点です。頭上を通過するときの高度は25mほどです。25mプールの反対側を大型ジェット機が時速250kmで通り過ぎていくようなものです。

千里川土手からの風景

パイロットからは着陸寸前なので操縦に集中しているのもありますし、近づくにつれ操縦席の下になってしまうので見物している方の顔まではわかりませんが、人がいるのは見えます。


最後までお読みいただきありがとうございました👨‍✈️

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