みなさんこんにちは!エアライン機長のGOROです👨✈️
今日は国内の航空会社の定時出発率をランキング形式でご紹介いたします。
使用したデータは国土交通省発表の2020年度の定時就航率のものです。
遅延と出発の定義とは?
国際的には定刻の15分以内であれば定時出発とみなされます。この辺りは日本の電車の感覚とは少し異なりますね。
また、出発とは飛行機がプッシュバック=牽引車で押し出される時間のことを指しています。定時にドアをクローズできて、機内の準備が整ってからパイロットは管制官にプッシュバックの許可を求めます。すぐに許可がもらえればいいですが、他の飛行機が後ろを通る時は待機を指示されたりしますので、定時にドアをクローズしても実際プッシュバックできるまでには多少の時間差が生じてしまいます。

定時出発ランキング
順位 | 航空会社 | 定時出発率 |
1位 | スカイマーク | 99.14% |
2位 | ソラシドエア | 98.93% |
3位 | スターフライヤー | 98.79% |
4位 | AIR DO | 97.13% |
5位 | ANA | 96.97% |
6位 | JAL | 96.81% |
7位 | ジェットスター | 94.93% |
8位 | Peach | 93.94% |
9位 | 春秋航空 | 93.83% |
以上のようにスカイマークが1位となりました。99.14%というのはなかなか見かけないような素晴らしい数字だと思います。3年連続1位だそうです。
遅延の理由
遅延には天候、空港混雑、お客様理由、管制上の理由、貨物理由などがあります。です。例えば目的地が台風で運航できるかわからない時に、ある航空会社は欠航したが別の航空会社は時間を遅らせて運航した場合、欠航した会社は遅延にカウントされませんが、遅らせて運航した会社は遅延にカウントされます。しかし乗客目線では遅らせて運航してくれた方が嬉しいかもしれません。

また路線規模が大きいと遅延要素が増えるので定時就航率の観点からも不利かもしれません。ANA、JALのランキングが低いのはこのような理由もあるでしょう。
あとはどこまでお客様を待つか、なども航空各社によっては対応が異なるので、、、あまり詳しく書くと特定の航空会社を批判することになるになったりするのでこの辺りにしておきます(笑)
コロナウイルスによる影響
2019年度の定時出発率と比較すると各社とも例外なく5〜10%の定時出発率の改善が見られました。これはコロナウイルスの影響で乗客数が減ったのでお客様事由の遅延が減ったことや、航空路や空港周辺の飛行機の減少によって遅延が減ったなどの影響があるでしょう。
遅れて出発したらパイロットはどうするか?
遅れを取り戻すべく安全に影響のない範囲で努力していきます。次のような方法を取っています。
巡航速度を上げる
早く飛べば早く着く。当たり前のことです。車ならば高速道路を時速80kmでなく120kmで走れば単純計算で2/3の時間で到着できます。(制限速度は関係ないものとして。。。)

しかし飛行機は特に高い高度では性能的に選択できる速度幅が非常に狭いのです。先程の車の例に置き換えると80〜90kmの間でしか走ることのできない車と同じようなものです。理由は速度を落とせば失速の危険があり、速度を出しすぎると空中分解の危険があるので選択できる速度幅は非常に限られているのです。よって速度を上げたところで特に国内線ではほとんど到着時間に変わりはありません。 実際のところ、1〜2分くらいしか変わりません。
風のいい高度を選択する
上空にはジェット気流という西風が吹いています。よって西行きのフライトでは向かい風、東行きのフライトでは追い風になります。ジェット気流は特に冬場は強く、時速300kmを超える風も珍しくありません。しかし全ての高度で時速300kmの風が吹いているわけではなく、ジェット気流の中心付近が最大で、離れるとある程度弱まります。

よって西行きのフライトならばジェット気流から離れた向かい風の弱い高度を選択し、東行きのフライトならばジェット気流に近い追い風の強い高度を選択するという方法です。
通常ジェット気流は35000ft以上の高い高度に吹いていることが多いので、冬場には西行きのフライトは30000ft以下の高度、東行きは35000ftに近い高高度を飛んでいる便が多いです。
この方法はうまくはまれば国内線でも5分くらい短縮できることもあります。
目的地まで遠いし飛行機は飛ぶのが早いからちょっと遅れても定刻に着けそうに思われがちですが、実はパイロットがどんなに努力しても特に国内線では数分程度しか遅れは取り戻せないのです。したがって出発の段階である程度到着時間の結果は決まってしまいます。皆様の定時出発へのご協力を大変ありがたく感じております。ありがとうございます!

今回は2020年度の定時出発率ランキングとパイロットの対応をご紹介しました。
最後までお読みいただきありがとうございました!またのご搭乗お待ちしております👨✈️
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